今日は精神病院の盆踊り大会

今日はわが瀬野川病院(精神病院)の盆踊り大会の日だ。
夕方になっても夏の陽射しが熱い、8月のさなかだった。夕方6時に、各病棟の患者たちは外に出され、運動場に集合という。
1階の閉鎖病棟から、久しぶりに外へ出た。
病棟はクーラーがついているので分からなかったが、外は夕方になってもまだ暑い。ナナメ横から差す太陽の光が、肌を焼き付ける。
運動場のいくつかに外へ出られる門がある。屈強な看護師たちが、患者が脱走しないよう見張りについていた。
そんな会場へ、病棟から患者たちがワラワラと集まってきた。
それぞれ閉鎖病棟に何ヶ月や何年も入院している患者たちだ。
ゾンビのような精神病患者が集まってくる

おおかたの患者たちは足元はふらつき、視線は空中をただよい、あるいはあたりを見回している。
前かがみの猫背で、手足は細く、しかし運動不足のせいか腹は出て、顔は前に突き出し、手をたれたような患者がじわりじわりと何十体も集まってくる。まるで墓から出てきたように思える。
看護師や、わりとまともなそうな患者が、運動場の中ほどで白いプラカードをかかげていた。それには「R1」「R2」「R3」「R4」「デイ・ケア」などと目立つように書かれていて、患者は病棟ごとに並んだ。
ざっと400名くらいの精神疾患患者たちがずらりと並んだ数百体もうごめく患者たちを見ると、USJのハロウィンのゾンビにも負けない恐怖感がする。
当然、ぼくもその中にいる。
数か月ぶりに外界の空気を吸った患者が多いのか。
興奮している人も多く、知り合いの患者と談笑したり、ぶつぶつと独り言を言っていたり、まったく無言で並んでいる患者もいた。
いきなり、遠くの女性が叫んだ。
目をやると、60代かそこらのオバサンが発狂してわめいていた。
すぐに2人の看護師に取り押さえられ、別の看護師が車イスを持ってくるとオバサンは強引に乗せられ、退場していった。
それには誰も目をくれず、中央で院長先生の挨拶が始まった。
その日は8月6日の広島での原爆の日が過ぎた頃だった。
老齢の院長は「原爆を知っているかな?」と、マイクで質問してきた。それは「原爆を体験した人はいるか?」という意味だった。
何人かの患者が挙手した。しかし、手を上げた患者は50歳くらい、原爆はもちろん体験していない。
ただ「8月6日は原爆の日と知っている」それだけだった。
盆踊りが終わると、会食がはじまる

前もって練習させられていた盆踊りが始まった。
看護師が「月が、出た出~た~」のような音楽を放送で流し、太鼓でリズムをとる。浴衣姿の女性の看護師と、「素直な」患者は舞台のまわりを円にして踊っていた。
他の素直でない患者はぼーっと見ているだけだ。
踊りが一段落すると、会食になる。
あらかじめ配ってある「ホットドック」「うどん」「ジュース」などのチケットを、屋台風のテントで食べ物と交換する。
これはお小遣いから引かれるので、有料だ。
暑いのでビールが欲しかった。
カラオケ大会は400人の前で熱唱

踊りのあとはカラオケ大会は、ぼくは半ばヤケクソで予約していた。昔のカラオケボックスにあるような、ちゃんとしたカラオケマシンが用意されていた。
約400人の患者と看護師が見ている中で歌った。
酒があればいいのに、とも思った。
年の人でもわかるうに、「また逢う日まで」(尾崎紀世彦)を選んだ。
シラフで400人の前は緊張したが、それなりに歌えた。拍手喝采がきたので、少しうれしくなった。
大トリは、60歳くらいのオジサンが口紅を塗って、女性の浴衣姿で、おカマのふりをして歌っていた。これもうけていた。
わりと楽しい、精神病患者だけの盆踊り大会であった。
もう酒は止める!精神病院から退院

楽しい盆踊りも終わり、退院日が近づいてきた。
始めはアルコールの離脱症状でかなりきつかったが、日が経つにつれ楽になっていった。
病棟ではたくさんの友達ができた。
変な精神疾患患者がたくさんいた。
おもしろい精神病患者もたくさんいた。
アルコール勉強会にもすべて出席し、酒害についてたくさん勉強した。
家のものにはかなり迷惑をかけた。
もう酒は飲まない。
一日断酒を頑張っていこうと思う。
退院当日の午前中、妻が車で来た。
「もう何回きたかわからんわ!」
と文句をたれていた。
ぼくは車のなかで、自由になれた解放感を味わっていた・・・・・・
もう酒は止める!精神病院から退院まとめ
●まとめ
・結局、精神病院に3ヵ月ちかく入院して、やっと退院できました。
・退院直後は、「もう絶対に飲まない」と心に誓います。
・ですが、退院3ヵ月、6ヵ月のあたりで、喉元過ぎれば熱さを忘れるでスリップすることがよくありました。
・数年後にまた入院して、今度は脱走してしまうのですが、その話はまだ後日・・・・・・
・長い間、お読みいただきありがとうございました。
アルコールが止められない方へ

・ぼく(私)はもしかしてアルコール依存症かも?
・お酒で肝臓を悪くしている
・一旦飲酒を始めると、とことんまで飲んでしまう方
そのような方へ、お酒をやめる手助けになります。
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