

精神病院の保護室からの開放

昨日、やっと保護室から開放された。イヤな牢獄から開放された。
入院から4日目である。
「中間開放」なので昼間だけデイルームで過ごせるのだが、牢獄の中にいるよりはずいぶんとマシだ。
本日5日目、だいぶアルコール離脱症状が治まってきた。
振戦(震え)も、手をパーにしたらかすかに震えているが、入院当日のアルコールが切れた時ほどピグピグとは震えてない。足や身体はまったく震えてない。脂汗も引いてきた。
かなり楽になった。
ただ、不安感はまだあるためセルシンという安定剤を飲んでごまかしていた。
デイルームで過ごす

日中はほとんどデイルームで過ごす。
ただ、以前、自分の保護室を開けっぱなしにしておいたら、知らない間に荒らされていた。バッグの中に入れておいた袋菓子や飴を全部取られてしまった。
ムカついた。
なので、デイルームにいる間は自分の部屋の扉を閉め、レバーでロックするようにした。
保護室にはなるべく戻らない。保護室にいると、飲んでしまった過去の後悔の念や、解雇、離婚、愛娘との別れのことをまた考えてしまうからだ。
午前と午後の作業療法には参加するようにした。集中していると、イヤな事を考えずに済むから。
デイルームで作業療法を行う

OTさん(作業療法士)は2人ペアで来る。
パズルやゲームを持ってきたり、マンガ本や雑誌を10冊くらい持ってくる。マンガ本を時間つぶしに眺め、ぜんぜん解けない知恵の輪をえんえんとやり続けたりした。
つらいことを忘れることができた。
ミュージックステーションの録画を流すこともある。若い患者は夢中で見ていたが、世代が違うからか知らない歌手ばかりだった。
音楽リクエストといって、MDに録音してある曲をリクエストして流すのだが、エアロスミスやAC/DCはなかった。しょうがないのでビートルズなんかをかけてもらった。
OTさんとの会話は楽しかった。まともな人間だから。
薬物やアルコール依存症も、それが抜けたら普通の人なので、普通に会話ができる。
だが、依存症以外の患者は会話が難しい。
統合失調症の重い人、発達障害の人、自閉症の重い人・・・・・・などなどは会話にならないことが多い。
統合失調症は話しが飛ぶし、発達障害の人は話しが幼稚だし、自閉症は喋らない。
精神病院の保護室から開放されたが、頭がぼやけている

保護室から開放されたものの、まだアルコール離脱症状は完全には抜けきっていない。いつも寝起きのようで、頭も視界もぼやけているように感じる。
テレビのアナウンサーがニュースを喋っているのだが、言っていることが頭に入ってこない。脳で言葉をしっかりと理解できないでいる。
アナウンサーの声がスピーカーを震わせ、空気を震わせ、それが伝わって鼓膜を震わせ、そのまま後ろに抜けていく。
マンガ本の絵は単なる黒い線として目に入り、セリフもただの文字として網膜に映り、そのまま抜けていく。
なにかの事件を報道しているのだが、なにかが理解できていない。頭に入ってこない。
テレビはただのカラー画像と空気の振動として、マンガは白黒の画像として脳には入ってくるがそのまま消えていく。
アルコール離脱症状が抜けきるまで、もう少しかかりそうだった。
精神病患者を観察する

そのような症状だったので、ヒマつぶしにデイルームでほかの患者を観察することにした。そのほうが、よほど面白かった。
この人は話がぐちゃぐちゃになるので、たぶん統合失調症だろう。
この人はまともなので薬物かアルコールなのかな。
この人は人と交わらないので適応障害系だろう。
このしゃべり方は発達障害だな。
2回も入院すると、精神病の症状がなんとなくわかってくる。
デイルームでずっと患者たちを観察していた・・・・・・